旅の準備
夕食は手作りのカレーライスだった。入浴、洗濯、そして旅の準備。カメラバックに着替えを詰め込むのは困難である、といって青いバッグ(高校の修学旅行のときに買った)では大きすぎる。どうしたものか…と思っていると、ほとんど使っていないリュックサックが目に入った。
小学生の遠足の時によくお世話になったものである。最後に使ったのは1990年の上高地、東北旅行の時である。当時大学3年生で、リュックの上に同じくらいの大きさのシュラフをくくりつけて、無人駅で寝た。鶴ケ城の城門の陰で野宿もした。
よし、つめかえだ!
結局、あっという間に列車の時刻がきた。
8月26日、木曜日。
本庄駅の改札口で、「青春18きっぷ」に日付を入れてもらう。
「間に合ったな」
「能登」の指定席券を発行してくれた係員が笑っていた。
「ありがとうございます。行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
新前橋行普通列車の入ってくる音がした。
0時25分、高崎に到着。すぐに2番ホームの端へ行き、三脚を立てる。3分後には金沢行寝台特急「北陸」がやってくる。今回は135ミリレンズをつけて撮影。
駅前を散策。そのうちに雨が降ってきた。
1時過ぎに駅に戻る。すでに「ムーンライトえちご」が到着していて、誇線橋はにぎやかだった。30分間停車するので、歩き回っている乗客がいるからだ。
「けっこう若い人も乗ってるね」
などと話している、リュックを背負ったおばさんもいた。
いつもは急行「能登」を見送る立場だが、今回は見送られる側である。