ファイルNo2 ペットボトル

 それは、部室にあるソファで起こった。





 理科準備室に続く通路にソファが置いてある。





 横幅は結構あり、人が一人横になれる。





 時々、生徒が寝ていた。みっともないので、





「寝るな!」





 と注意はしていた。





 ある日のことである。





 件のソファで、





逆ユーレイ部員のK本が寝ていた。






 逆ユーレイ部員とは、ユーレイ部員の逆である。





 いや、きちんと解説しよう。






 部員登録をして、





部員なのに全く活動に出てこないのを、





世間一般ではユーレイ部員と呼んでいる。





 K本の場合は、写真部の部員ではないのに、





なぜか写真部の部室にやってくるのだ。





 しかもほとんど毎日である。





 おわかりいただけただろうか。






 K本はソファに仰向けになり、





両足をおっぴろげて眠っていた。





 (あれだけ、「寝るな」と言ったのに)





 これには教育的指導が必要である。





 何かいいものはないか?





 ソファの周辺に目をやると、





2リットルサイズの空のペットボトルが転がっていた。





 それを手に取り、





振り上げた。





 頭をパコってやれば起きるだろう。






 そう思い、ペットボトルを振り上げた。





 ふと、視線が股間に向いた。





(目標変更!)





 ペットボトルを目標地点に向けて正確に振り下ろした。





 (うむ、手ごたえあり)





 確かな感触がペットボトルを通して伝わってきた。





 同時に、






「ぎゃはひゃほひぇあ〜!」






 なんだかよく聞き取れない悲鳴をあげて、のたうち回っていた。





「う〜ん、水を入れてやった方がよかったか?」





「センセイ!こわれます!」





 それ以来、ソファで寝る生徒はいなくなった。(終)

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