金八先生された話

高校で非常勤講師をしていたときのお話。

 大変、不名誉なことではあるが、授業中に、「金八先生」をされたことがある。

 会話なら数回ある。
「先生!金八先生になったらいいじゃないですか!」
「『金八先生』という仕事があったら就職したいよ」
 非常勤講師というのは1年契約なので、将来の保障はまったく無い。いつも仕事を早く見つけないとな…という不安が付きまとっていた。

 それはともかく、本題に入ろう。

 授業が始まった。
 号令と友にあいさつ。
 出席をとる。
 そして、教科書を開いて、さあ、内容に入ろうとした…
 その時!
 予想もしないとんでもないことが!



 生徒の一人が立ち上がった。
さんねん〜び〜ぐみぃ〜
 金八先生〜!」
 それが合図だったらしく、数人の生徒が教卓にやってきた。
 私を取り囲むなり、ヒョイと持ち上げて…。

 胴上げされた。

 天井が三回、近づいてきた。

 あまりの出来事で、体から力が抜けた。
 2年生の修学旅行の時、福岡空港で担任(男性)を胴上げ、という前科があるらしい。
 元気がありあまって、面白いことが大好き!というちょっと不思議なクラスなのだ。

 授業が終って、職員室で、他の先生にこのことを話した。
そりゃスゴイ!
先生にしか出来ないことですよ!
次はいつするのですか?
見たい!


 あと一回されたような気がする。
 こういう生徒とのふれあいは、教育上、いいのか?

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