貧乏旅99 富山編
1999年8月22日、日曜日。
深夜に福岡の友人、しいさんから電話がかかってきた。
「今度の休み、富山へ行かんか?」
話を聞くと、富山にすごい滝があるという。落差は350メートルと日本一。しかも夏の間しか見られない。
「テレビで見て、どうしても行きとうなった。一緒に行かんか?」
私もテレビで見たような気がする。今度、というのは8月26日のこと。福岡で会って10日もしないうちに再会できるなんて。
話し合いの結果、高崎から急行「能登」に乗り、車内で合流すると決まった。
でも、お金ないけど…。
「能登」の切符代は出すから、青春18きっぷを用意しておいてね、と言われた。
「その代わり…」
「なに?」
「高崎までの電車賃はそっちで用意して」
「すでに日付は変わっているから『青春18きっぷ』で行くよ」
「そうか!」
埼玉県の本庄市は便利なところだ。
夏はまだ、終わっていなかった。
早速、8月23日の朝、本庄駅で「青春18きっぷ」(11,500円)を買った。
ところが…。
直前になってしいさんに急用が入り、行けなくなってしまったのだ。
仕方ない。「ムーンライトえちご」に乗って青海川駅へ行こうか。
8月25日、仕事を終えて、本庄駅へ。
「ムーンライトえちご」は満席だった。
気がついたら、富山までの急行「能登」の指定席券を買っていた。乗車券と急行券、あわせて7,860円だった。
510円からの大増収である。きっぷうりばの係員から丁寧にお礼を言われた。
富山へ行って観光の後どうするか?
そうだ、舞鶴の親戚の家に遊びに行こう。
早速、電話した。
「あらまー、久しぶり〜。元気?」
おばさんが出た。遊びに行っていいかと聞くと、
「いいけど…。お金、大丈夫なの?」
私のビンボーはかなり知れわたっているようである。めでたくタダの宿を確保することができた。あとは、大垣からの東京行夜行に間に合うように出発して、夜勤に間に合うように本庄に戻ればいい。
しいさんと一緒なら、黙ってついて行くだけで滝を見ることができる。しかし一人旅なら、行く方法を調べなくては…。「立山にある凄い滝」というだけしか知らないのだ。
時刻表の索引地図を調べてみた。
立山の近くに滝はないか…。
「凄い滝」だからなにかしら載っているはず…。
地図に「称名滝」を発見。
多分これだろう。立山からはバスが出ている。
よし、目的地設定。行き先は「称名滝」。
まだ、この時は読み方を知らなかった。