高崎の朝がゆ

高崎には朝しか売っていない幻の駅弁がある。

その名も「朝がゆ」。

お値段も350円と駅弁にしては安い。いつかは食べてみたいと思っていたが、こんな形で実現するとは。早速買わねば。

「朝がゆ弁当ありますか?」

「もうすぐ来ますよ」

しばらくすると、おじさんが箱をかついできた。4つ買う。手提げ型の大きな箱に「朝がゆ」とあった。

私が洗面所で顔を洗ったり、弁当を買いに走り回っていたので、生徒達は乗る列車がわからなかったようである。長野行に乗った時は既に遅く、座席のほとんどが埋まっていた。あいているロングシートに座る。二人分しか空いてなかったので、交代で「朝がゆ」を食べた。

保温容器の蓋を開けると、本当にお粥が入っていた。よく見ると白州干しが浮かんでいる。好みに合わせて塩、梅干、漬物を入れて、スプーンで食べるようになっていた。これで350円とは安い。

坂口君のにはスプーンが入っていなかった。

碓氷峠

「信越本線には電車の後ろに機関車が2台連結される区間がある。でも北陸新幹線ができると廃止されるらしい」

「ぜひ見てみたい!行きましょう」

出発前にこんな会話をした。その結果、上越線を経由せず、遠回りの信越本線を経由することになったのである。

碓氷峠はJR線で日本一の急勾配の峠である。そのため横川〜軽井沢間は高崎よりの方に機関車を2台連結して急勾配を克服する。大学2年の夏、この峠を下った。列車は暴走しないようにそろりそろりと下って行ったのを覚えている。

峠を昇る列車は機関車と力を合わせてよじ登る(特急のみ)。これからよじ登るのを体験するのである。

横川で4分停車。後ろに機関車を2台連結する。線路に並行するように新幹線の工事が進んでいた。

普通列車は機関車だけの力で押されて昇っていく。スピードは下るときよりも少し速い。車内の通路が坂になっているので車窓を見なくても急勾配が実感できる。車両1両分(20m)で1メートルの高低差があるのだ。

軽井沢に到着。機関車切り離し作業で数分停車。さすが高原の避暑地、ホームに立てば涼しい風に包まれた。車内の冷房とほとんど差がない。

昼寝

終点の長野に到着。生徒達は寝不足のせいか、元気がない。列車を待つ間、駅から散歩に出る元気のある者はいなかった。

駅前郵便局で旅行貯金。旅行貯金とは郵便局が全国に24,000局あるので旅先で貯金するというものである。通帳に郵便局のゴム印が押されるので、記録も残る。10円以上ならいくらでも貯金できる。そこで10局目で10円貯金した。それ以来、局数分の額を貯金するようにしている。長野駅前郵便局では358円貯金した。

戸狩野沢温泉行は2両編成のディーゼルカーだった。

ローカル線とあって乗客は少なく、車内はガラガラ。生徒は空いている座席に横になり、昼寝を始めた。

すかさず、眠っている様子をカメラに収める。

駅に停車するたびに乗客の乗り降りはあるが、車内は少しずつさびしくなっていく。

生徒達は熟睡していた。3人とも座席に横になりよく眠ってる。

いい被写体だ。

炎天下の散歩

戸狩野沢温泉に到着。次の列車までの待ち時間は1時間54分。駅舎の写真を撮ってうろちょろしていたら野沢温泉行のバスが出て行った。

待合室にあったガイドマップによると、2キロほど歩いたところに戸狩温泉があるらしい。近くの郵便局で旅行貯金と友人への葉書を書き、いざ温泉へ。

炎天下の中を歩く。ところがなかなか着かない。途中で食事できるところがあれば食事でも…と思ったが、食事できるお店がない。列車の時間が迫ってきたし、お腹もすいてきたので駅へもどる。

踏切の近くのレストランで昼食。メニューが乏しく、生徒達はラーメンとカレーライスを注文していた。私もカレーライスを注文。

不平不満を口にせず、よくついてきたものだ。炎天下を歩かせたのは悪いと思い、ジュースを生徒におごった。

列車が来るまでの間にホームで記念撮影。

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