センセイの初体験

「しょうがない。それじゃ、初体験の話をしようか」

「ヒュー!待ってました!」

 教室が拍手で包まれた。

 何がどうしょうがないのか忘れたが、生徒達はこういう話が大好きなようだ。

「センセイ、いつ経験したんですか?」

「いつごろかというと、16歳の夏過ぎ…だったかな…」

「意外と早いっすね!」

「相手の女性はワンピースの似合う若い女性だった…」
「あ、わかったセンセイ!お店に行ったんでしょ?」

(何がわかった、だ)

「そうそう。お店に行ったんだ。そういうことにして、この話は終わりにしようか?」

「わあ!いえ、続けてください」

 人の話は、最後まで静かに聞くものである。これ、重要。

 教育的指導の後、説明を続けた。

「私の体のアノ部分にゴムをつけた」

「おお〜っ!」

「すると、アノ部分の血管が浮き出て、ミョ〜にたくましく見えた」

「お〜っ!」

「体内にズブズブと入っていく感触があった…」

 生徒達は嬉しそうに聞いている。顔をちょっと赤らめながらも、続きを期待している女子生徒もいた。

「女性に言われたとおり、力を入れたり、抜いたりした」

「へ〜っ!」

15分くらいで終わった」

「意外と長いですね」

(何が長いのだ?)

「これがセンセイの…献血の初体験の話だ」

「!?」

 さっきまで悶々としていた雰囲気が一気に冷めて行った。

「やっぱりセンセイは童貞なんですか?」

「ド〜テ〜、そんなこと聞くの〜?」

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